大駱駝艦 田村一行 舞踏公演「土佐の山間より出づる」

開催日時
2017年2月12日(日) 15:00開演
会場
高知市文化プラザかるぽーと 小ホール
入場者数
87名

田村一行氏とは、平成26年度のダン活に続き、2度目の高知公演となりました。舞踏を「紹介する」という前回のテーマから踏み込んで、今回はテーマを「深める」と設定し、多くの市民の皆さまと共に事業を実施しました。

公共ホール現代ダンス活性化支援事業は、公演のほか、地域交流プログラムとしてアウトリーチやワークショップも実施します。今回は、高校生・中学生・高齢者とそれぞれ3カ所の施設を訪問し、また一般公募のワークショップも開催しました。

普段とは異なる身体の使い方を体験したり、舞踏や芸術、価値観の話など、はっとさせられる内容も多く、参加者の皆さんには貴重な体験となったと考えます。特に、ワークショップを終えた後に、進路ことや身体の事を田村一行氏に相談したりと、短い時間ながら良い信頼関係が芽生えているのを感じ取ることができました。

このように、高知の人々と触れ合うことは、ただ舞踏を体験してもらうだけではなく、アーティストにとってはそこに住む人々から高知の文化や風土を教えてもらい、感じられる機会となります。
高知で出会った人やモノ、出来事から、田村一行氏によって生み出された高知オリジナル舞踏公演が、本事業の上演作品『土佐の山間より出づる』です。

大駱駝艦より6名、そして11名の市民が舞台に上がり、総勢17名での迫力の群舞を実現することができました。市民参加者は舞踏経験者や演劇経験者といった表現者のほか、全くの舞台初心者にも参加していただきましたが、田村一行氏曰く「今までの市民参加型事業にはない稽古量と内容」であったそうです。

稽古は5日間、6日目には本番というタイトなスケジュールにもかかわらず、田村一行氏にここまで言わしめたのは、市民参加者の熱量にほかなりません。
日々声を掛けあいながら、少ない時間に皆で自主的に稽古を行うなど、ほんの数日の付き合いとは思えないほどの参加者同士の連帯感が生まれていて、非常に嬉しく頼もしく感じました。アーティスト・スタッフ含め事業に関わる人間の、良い協力体制が、本公演をつくりあげたと感じています。

公演の内容は、よしや節や絵金、オサバイ様など高知の風土・文化を舞踏で表現した内容でしたが、いわゆる難解な暗黒舞踏然としたパートと、あたかも金粉ショーのような〝絵〟として楽しめるパートが混在する構成となっていて、鑑賞の経験を問わず、それぞれが楽しさを見出せる舞台となっていました。

「何故だか知らないけれど涙が出た」と学生から高齢者まで幅広い年齢層から同じ感想が寄せられたのは、本公演が表現の真意に迫るものであったからではないでしょうか。
また、今まで多くの舞踏公演を見てきたというお客様、また参加した大駱駝艦メンバーからも、ここ最近の舞踏公演の中で一番良かったと感想をいただき、田村一行氏をはじめとする大駱駝艦のメンバー、スタッフ、何より市民参加者の熱量があって達成できたことだと感じています。


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