豊中市発 沖縄市・高知市連携演劇プロジェクト「PORTAL」

開催日時
2016年3月20日(日)
会場
高知市文化プラザかるぽーと 小ホール
入場者数
82名

都市とそこに暮らす人々を描き続ける気鋭の劇作家・林慎一郎氏と、大阪を拠点に自ら設営した野外劇場で、架空の都市を作り続けてきた劇団維新派の松本雄吉氏。2人が脚本と演出で初タッグを組んだ本作は、豊中市(大阪府)・沖縄市・高知市が共同で制作し、各市でツアー上演されました。
本作のテーマは「地図」。実在する大阪のとある街の地図に、世界中に熱狂的なファンを持つ人気の携帯ゲーム「Ingress」を通して見た架空の地図を重ね、さらに林氏が実際に街を歩いて見て感じたものやそこに住む人たちのエピソードなどを拾い集めてできた架空の「神話」を重ね、現実とも空想ともつかない不思議な街とそこに住む人々の姿が描かれています。
その戯曲の上を、劇団維新派が自身の作品にも度々用いる表現方法の一つである変拍子のリズムに合わせて、登場人物たちはまるで地図の断片であるかように、その街の記憶を語りながら歌い踊り、観る人を地図の中へと引き込んでいきます。抽象的なセリフや隊列での規則的な動きは、観る側にその解釈を委ねており、その人を取り巻く環境や世界観などによって作品の観え方はまったく違って感じられたことだと思います。
このような作風の舞台は都市部では盛んに上演されていますが、高知ではまだまだ少なく、貴重な鑑賞の機会となりました。来場者からは「内容は難しかったが、心で感じるままに楽しむことができた」「これを機に色々なジャンルの舞台を観てみたくなった」など、今後も観る人の感性を豊かにする、質の高い舞台芸術の開催を期待する声が聞かれました。


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