平成25年度リージョナルシアターモデル事業
こどものための演劇をつかったコミュニケーションワークショップ

開催日時 2013年11月24日(日) 14:00~15:30
会場 高知市文化プラザかるぽーと 11階軽運動室
参加者数 20名

この事業は、財団法人地域創造の助成を受け、演劇を通じた創造性豊かな地域づくりを目的に行うものです。本年度はモデル事業として、長野県上田市、愛知県豊田市、高知県高知市の3地域で開催され、高知市では、中央で活躍する演出家を招き、11月21日から24日までの4日間、学校へのアウトリーチや地元表現者への指導、関係者向けのインリーチを行いました。

事業初日は、高知市立第六小学校にて、劇団田上パル主宰の田上豊さんによるワークショップを開催しました。対象の4年生32人はとても楽しみにしていたようで、会場に入ったときから興味津々、あっという間の90分でした。「伝える・演じる・助け合う」を軸にしたプログラムで、最後の創作・発表では、普段あまり自分の意見を言えない児童も意見を出し、グループごとに協力してアイデア溢れる作品に仕上げていました。

2日目は、高知市立行川中学校の1年生から3年生までの全生徒23人を対象に、東京デスロック主宰、キラリふじみ芸術監督の多田淳之介さんによるワークショップを開催しました。思春期の中学生は、会場に入ってきてからもグループで集まったり、小学生と違ってスロースタートのように感じられました。しかし、多くのワークショップ経験を持つ多田さんは、生徒の様子を見ながらプログラムを進め、徐々に生徒を引き込んでいきました。終盤は全員がまとまって一つのものを作り、短時間で大きな変化が見られました。ワークショップ後に行った給食交流での会話からも、一見するとシャイなこどもたちが大きな関心を持っていたことが伝わってきました。

3日目は、田上さんによる文化ホール・教育関係者向けのワークショップを高知市文化プラザかるぽーとの軽運動室にて開催し、14人が参加しました。本事業担当も参加しましたが、言葉を使わず意思疎通する難しさや、考えが伝わる喜びを体験でき、とても有意義に感じたプログラムでした。

事業最終日は、高知で演劇に携わる人たちで作り上げたワークショップに一般公募で集まった小学4年生から6年生の20人が参加しました。参加者は、ほとんどが初めて会うこども同士でしたが、多少衝突しながらも同じイメージを共有したり、失敗したときにハイタッチをしてお互いを認め合ったりし、人とのつながりが希薄化する中で、よい体験になったのではないでしょうか。プログラムの最後は全員が協力して発表を行いました。

最終日のワークショップは、地元表現者が夏から試行錯誤を繰り返し、この4日間で多田さん・田上さん・地域創造の方からたくさんのアドバイスをいただいて作りあげたものです。

本事業を通じて感じたことは、一見スムーズに進行するプログラムは、実は一つの目的に向かい、時間をかけて綿密に作り上げられたもので、またワークショップの現場では、こども達を全て受け入れる、繊細で情熱的な指導者の人間力がなによりも大切だということでした。

地域の表現者とともにワークショップの本質を学び、ひとつのプログラムを作り上げたこの貴重な4日間、来年以降もさらに力を合わせてこのプログラムを進めていきたいと思います。

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